森の生活では、幼・小・中・高校ごとに15年一貫の森林環境教育を、教育委員会や学校・保育施設と連携して2009年から実施しています(プログラムは森林環境教育LEAFを参考に作成しています)。昨年度のまとめはこちら。
高校3年間を通じた森林環境教育の目標は「持続可能な地域経済のあり方について、地域資源の活用や、SDGs・ESGの観点を踏まえつつ、探究し、提案することができる」です。
1年生は毎年、士別翔雲高校とのキャンパス交流として実施しています。
両校の生徒たちが交流するとともに、下川町の地域資源である森林を体験し、森林を活用したビジネスを知るというプログラムです。
まずは、下川町と上川北部森林管理署が共催する「第14回下川町林業体験バスツアー(育樹祭)」へ参加。
森林管理署の職員さんに指導していただきながら、アカエゾマツの枝打ちを体験しました。
枝打ちは、木材の商品価値を高め、林内の見通しや作業の効率を高めるための大事な作業。
慣れない作業ながら、生徒さんたちは「意外と楽しい!」と言いながら進めていました。
育樹祭終了後は、下川商業高校へ移動してトドマツの蒸留体験。
下川町の木でもあるトドマツの枝葉には香り成分が多く含まれており、エッセンシャルオイル(精油)を抽出することができます。
蒸留装置に入る大きさに葉をとって詰めていき…
水蒸気蒸留法という方法でエッセンシャルオイルを抽出します。抽出したエッセンシャルオイルと芳香蒸留水は、両校にお土産として持ち帰ってもらいます。
規模は違えど、同じ方法でトドマツのエッセンシャルオイルを抽出し、製品化しているのがフプの森。
通常、丸太を生産する際には捨てられてしまう枝葉を活用し、付加価値をつけた様々な製品を製造・販売しています。下川町の地域資源 “森林” を活用したビジネスのひとつです。
工場の見学にうかがうと、ちょうどトドマツの蒸留をしている真っ最中!その香りに生徒さんたちからは「いいにおい!」という声が聞かれていました。
下川町の森林を活用したビジネスには、他にも様々な製品やサービスがあります。
その紹介と、地域資源を活用したビジネスが地域にとってどのような意味をもつかを講義しました。
講義後には、生徒さんたちが住む地域の資源とビジネスについて、知っているものをグループで共有。
プログラムの最後に、蒸留したエッセンシャルオイルと芳香蒸留水を取り分けます。
地域資源を活用したビジネスは、地域の持続可能性という面からも大きな意味があるものです。
さらに、その背景や携わる人の思いを知ると、また違った角度から地域を知ることができると思います。
今回の体験と学びを入り口として、高校生活3年間で、自分たちの地域に改めて目を向け、色々な角度から知ってもらえたら嬉しいです。
(たなか)