5/22-23の2日間、三井不動産グループ社員の皆様の下川町研修を企画運営させていただきました。
三井不動産グループは北海道に約5,000haの社有林を有し「“終わらない森”創り」を掲げ、「植える→育てる→使う」の循環の創造に取り組まれています。また、下川町とは 持続可能な地域社会創造を目指した包括連携協定 を結んでいます。
「下川町の経済・社会・環境の統合的な地域づくり、循環型社会の実現に向けた取り組みについて理解を深める」ことを目的として、今年は19名様にご参加いただきました。

本研修は毎年、三井不動産研修事務局の皆様、旅行会社のご担当者様と森の生活で打ち合わせを行い、内容を検討しています。
今年は「下川町の森づくりから木製品の流通に至るまで、一連のつながりを現場で確認する」ことをポイントの一つとして実施しました。
到着後、まずは下川町町有林へ。

町有林の概要や循環型森林経営、森林のCO2吸収機能の活用などについて、実際の森を見て、感じていただきながらご説明しました。

この場所は、ちょうど1週間前に「下川町植樹祭」を行った場所。
こども園・小学校・中学校・高校の児童・生徒たち、一般参加の町民など、たくさんの人が未来につながる植樹を行いました。
植えたばかりの苗木の奥には、60年の時を経て伐期をむかえたカラマツ。
ぐるりと見回せば、植えてから数年、数十年の木々が立ち並び、循環型森林経営の現場を見ることができます。

その後、少し移動して間伐作業が行われている場所へ。

バスを降りて外へ出ると、伐りたての木の香りが一帯に漂っていました。
間伐後の丸太は、建材などに使用できるいわゆる価値の高いものと、パルプやチップなどになるものが分けて積まれており、それを見ながら、伐られた木の活用や木材の価格・価値について、物流についてなど、様々な話に広がりました。

町有林を後にして、木材加工の現場である下川フォレストファミリーへ。
こちらの工場は、先ほどの町有林の見学場所から車でわずか15分程度。
下川町の林業・林産業現場がコンパクトにまとまっていることがわかります。

トドマツの集成材や木製品の製造工場を見学。


最後に、今年からの新事業である割りばし工場を見学しました。
町有林で伐られたトドマツを使用した割りばしは、今後FSC認証を取得し、より価値を高めた製品を目指すそうです。

ここで、1日目が終了。
2日目は、下川町の経済・社会・環境の統合的な町づくりのご説明からスタート。
先人が森林を中心に町づくりを進めてきた歴史や、町民と行政が一緒に作成した2030年における下川町のありたい姿と下川町地球温暖化対策実行計画について、その作成プロセス・現状と、現在の課題についてもお話ししました。

下川町と 地方創生に関する包括連携協定 を結び、夏いちごの栽培を行う 戸田建設株式会社 三浦玄太さんにも、取り組みをご紹介いただきました。

その後、下川町市街地から車で15分ほどの 一の橋地区 へ。
一の橋地区には、超高齢化問題と低炭素化の解決を目指して、エネルギー自給型集住化エリア“一の橋バイオビレッジ”が2013年に整備されました。
森林バイオマスによる熱供給を中心に、集住化による自律型コミュニティモデルと、しいたけ栽培など地域資源を活用した産業の創造に取り組んでいます。

バイオビレッジ内の木質バイオマスボイラーと、戸田建設株式会社の夏いちご栽培の現場を見学。

さらに、牛の排泄物からメタンガスを採取し、バイオガスプラントで発電を行っている 松岡牧場 を見学しました。

研修の締めくくりは、意見交換の時間。

この2日間の振り返りと質疑応答を行ったあと、「研修での気づき」や「ご自身の普段の業務に活かせそうなこと」「下川町と連携できそうなこと」などを自由に書いていただき、共有しました。昼食をとりながらの意見交換には、田村泰司町長も参加しました。

ご参加いただいた皆さまからの感想を紹介します。
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・森林現場の四つ角に立ち、説明をお聞きしたあの空気感は忘れられません。百聞は一見に如かずの貴重な体験となりました。
・SDGs、ネイチャーポジティブ、川上の概念から現場まで目を通しながら本気で自分たち自身の中長期的課題として取り組んでいる。刺激感銘を受けました。
・現場状況を確認しながら伐採後の造林・育林の現状や課題(コスト・体制や販売価格の状況等)が具体的に把握でき、現地でしか得られない貴重な情報に触れることが出来ました。
森から私たちの手元へとつながる一連の流れと、そこから生まれる資源や製品、環境を活かす取り組みを直接現場でご覧いただいたことで、森への新しい視点を持ち帰っていただけていたら、嬉しいです。








