森の生活では、幼・小・中・高校ごとに15年一貫の森林環境教育を、教育委員会や学校・保育施設と連携して2009年から実施しています(プログラムは森林環境教育LEAFを参考に作成しています)。昨年度のまとめはこちら。
下川中学校3年間での森林環境教育の目標「下川の林業・林産業の歴史と現在の取り組みを知ることを通じて、町の将来について考える」をふまえ、今年の2年生のテーマは
【身のまわりの木材の加工や活用方法について考え、木材製品を設計して生活に生かそう】
木材加工について「考える」だけではなく「形にして使う」までやろう!という授業。初めての試みです。
まずは、木材の特性を知る授業。
年輪はどうやってできる?木の構造はどうなってる?板目と柾目って?
スタッフの麻生が手に持っているのは、森の生活の敷地内にあった伐採後の木の幹を輪切りにしたもの。授業当日の朝に作って持っていきました。
もちろん写真などの資料でも年輪は見られますが、実物は表面が湿っていて木の水分を感じたり、香りがしたり、伝わることがより多いですね。
木材の板目と柾目も、教室の床や壁の羽目板で実際にチェック!
「これ板目だ」「柾目ってこれか」とあちこちで声があがっていました。
さらに、木材製品を作る際に欠かせない「木材の強度」について考えます。
大きさは同じで、厚みが 5mm 12mm 20mm のトドマツの集成材を用意し、触ったり折ったりしながら、どんな違いがあるか確認しました。
木材の厚みで強度が違うのはもちろん、木目の向きによっても強度は変わります。製品の用途や、木材を使う部分によっても、適した厚みを選択する必要があります。
木材製品を設計するとなると、色々と考えなくてはなりません。
木材について学んだあとは、グループに分かれて設計作業。
今回の授業では、木材の加工に “NCルーター” を使いました。
NCルーターは、板を設計図どおりにくり抜くことができる機械。くり抜いたパーツを組み合わせることで、製品をつくることができます。加工は地元の企業、下川フォレストファミリーさんにご協力いただきました。
厚み 5mm 12mm 20mm のトドマツ集成材の板が使えること、NCルーターを使うこと をふまえて、自分たちが作りたいものを考えて、設計していきます。
アイディアがかたまってきたら、段ボールで試作してみます。
生徒さんたちが作った設計図を下川フォレストファミリーの職人さんに渡し、コンピューター上で設計図を完成させて、加工をしていただきました。
さて、最後はいよいよ組み立て作業です!
グループごとに紙に包まれた加工後のパーツを受け取り、包みをオープン!どのグループらかも「おーーー!!」という声が上がっていました。
木材の断面をやすりがけしたり、グループによっては釘をうったりして、組み立てていきます。
このグループが作ったのは『釘などを一切使わずに作れる棚』
『机に設置できる教科書たて』
『みんなの意見を募集できる郵便ポスト』
『ボードゲームの収納棚』(棚の天板でゲームができる)
どのグループも、NCルーターでできることを活かしつつ、学校生活の中で活用できる製品をしっかり考えていました。
また、組み立てている時から ここはもっとこうした方がよかった といった改善点や、設計時点では気づかなかったけど、実際に組み立ててみたらうまくいかなかったこと などがたくさん聞かれていていました。これは、実際に自分たちの手で作ってみたからこその学びだったと思います。
今回の授業は、先生方の 木材加工を考えるだけではなく、実際に製品を作らせたい というご要望と、地元企業である下川フォレストファミリーさんのご協力があって実施することができた、とても下川らしい授業だったと思います。
何より、初回の授業から最後の組み立て作業まで、終始生徒さんたちが積極的に、楽しそうに学んでいた姿がとても印象的でした!!
これからも、森を中心とした充実した学びのお手伝いができるよう、しっかり頑張っていきます!
(たなか)