年7回、森を楽しむイベント「もりさんぽ」
今年度最後のもりさんぽは「ケモノ道トレッキング」という怪しげなテーマで開催しました。
まずは下川の森ではどんなケモノが見られるかを紹介しました。
「ケモノ」と言えば真っ先に思い浮かぶのはクマですが、クマの他にも森にはシカ、キツネ、リス、ウサギなどのケモノがいます。
野生動物に近づくということはなかなかできないので、本物のシカ角を用意して触れていただきました。
知識を得たあとは、実際にどのようなケモノの痕跡があるか見に行きます。
スノーシューを装着して出発です。
森の中に進んでいくと、早速何かのケモノ道を発見。
立ち止まってみんなで観察してみます。
これはシカかな?
どの動物が通ったかは足跡を見るとだいたいわかりますが、この日は午前中に雪が降ったため、足跡が見えず何の動物かはっきりとはわかりません。
このケモノ道を辿ってさらに進んでいくと、左右に横切っている道もあります。
斜面についているケモノ道も発見
倒木の樹皮が削られているところがありました。
こちらはよーく見ると、歯で削り取ったような跡があります。
ケモノ道や食痕の様子から、おそらくシカでしょう。
この時期のシカは笹や草などが雪に埋もれてしまって食べられないので、樹皮を食べて生きています。
林業では植林した苗木が食べられたり、冬には樹皮が食べられたり、シカによる食害が後を絶ちませんが、シカも生きるのに必死ですね。
せっかくなので、見本として用意してきたエゾユキウサギ の食痕のヤナギの枝と見比べてみました。
違いはわかるかな?
さらに森の奥へと進み、新しいケモノ道を見つけました。
足跡を覗き込んでみると、チョキ✌️の形です。
こちらはシカの蹄の跡ですね。
周りの木を見てみると、雪が積もっているところより上の部分の樹皮が食べられて色が変わっています。
さらにケモノ道を辿って奥へと進んでいくと、少し高い丘の上に続いているようです。
動物達の気持ちになって、この丘の上を目指しました。
登り口にシカが食べた木があり、近づいて見てみるとたくさんの齧り跡が付いています。
よっぽど美味しかったのでしょうか。
齧り跡が彫刻や版画のように線が残っていて、アート作品のように見えますね。
丘の上に到着し、しばし休憩です。
動物達はこの丘の上に立って、何を思うのでしょうか。
天気も良いし、見晴らしも良いし、ニンゲン達は気持ちよく過ごしたけど、動物達も同じ気持ちかな??
この丘まで来るのにゆっくり観察しながら1時間程度かかりました。
この日は気温が上がり溶けてきた雪がスノーシューにくっついて、とても歩きにくかったです。
しかし動物達はどこまでも自分の身体一つで歩いて行くし、時には獲物として狙われ逃げるためにこの雪の中を走ったりもします。
野生動物達のたくましさはすごいですね。
自然の中で一番弱い生き物は丸腰の人間かもしれませんね。
ケモノ道はまだまだ奥へと続いていますが、ここで折り返して元来た道を戻りました。
野生動物は春夏秋冬、森で生きていますが、夏場はなかなかその気配を感じることができません。
冬は雪の上の足跡や食痕を見ることで、野生動物を身近に感じることができます。
スノーシューで自由に歩き回れる、この季節ならではのもりさんぽでした。
(ながお)